半島を出よ [読書記]
旅行記もいろいろと書きたいこともありますが、
読んだ本も溜まってきました。
平行で、本のことも書いていきます。
まずはこの本。
近未来のこととして書かれていますが、
さもありなんと思ってしまう内容。考えさせられます。
北朝鮮の特殊部隊が突如福岡を占拠。
人質を前に、何も手を出せない日本政府。
経済力を背景に国際社会での発言力を持っていた
はずの日本は、経済凋落とともに、国際社会からも
見捨てられ。
そんな日本を救ったのは社会から見捨てられたはずの、
マイノリティの少年たち。
村上龍を読んだのはシンガポールにいたときに、
ラッフルズホテルを読んで以来。
同じ村上でも春樹はよく読んでいたものの、その隣りに並ぶ
龍にはなかなか手が伸びなかった。
去年文庫化されて、売り場に並んでいたので、
手にしたのが「この半島を出よ」。
この小説のタイトルはずっと前から知っていたものの、
この「半島」と言うのが朝鮮半島を指すとは読むまで
知りませんでした。
最近の、竹島・尖閣諸島に関する政府のスタンス、
不審な潜水艦が発見されたときの政府の対応、
そして、日本の思惑を無視して進む東アジア外交。
当然、架空のフィクションではありますが、本当に
こんなこと、起こりえるんじゃないかと思えるような、
設定に、思わずのめりこんでしまいました。
さすがは村上龍。
この小説で考えさせられたのは、誰かの犠牲なくして、
大多数は守れないという事実。
しかしながら、オーソリティ=国の作為として、人質に
犠牲が出ちゃいけないんですよね。いくら、それより
多くの人たちの平和が守られるとしても。
小説の中の政府の姿を通して、現実の政府の
ことなかれ主義が、どこかでしっぺ返しを食らう元に
なるんじゃないかと不安にさせられました。
とりあえず、アメリカの北朝鮮のテロ国家指定解除の
ニュースでのん気なコメントをしている人たちに
読ませたい。そんな一冊でした。
ちなみに、この話の登場人物イシハラとノブエが出てくる
昭和歌謡大全集は次の課題図書として、既に本棚に入っています。
※単行本はこちら
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これ、オチのセリフ、ちょっとどうかと思わん?
あと、内容について「勉強したんやろなー」とお思うけど、そう思わせるのってフィクションとしてどうなんやろか、と。
途中はおもしろかった。
by あわ (2008-10-15 02:58)
>あわ
オチのせりふねぇ。
実は、今ヨメの友達に本を貸し出されてしまって、
手元にないんだよね。こうやって書いておきながら。
北朝鮮の生き残りの女性のエピローグだっけ。
確かに、なんか違和感を感じた気もする。
参考文献がずらっと並んでるからね。巻末に。
このネタを中途半端な情報で書くと、あら捜しされる
だけだろうから、勉強は必要なんだろうよ。
その情報をどう構成するかが作家の腕なんじゃない。
by Teddy (2008-10-15 04:04)