あかんべえ [読書記]
旅行記に行く前に、もう一つだけ、
読んだ本のことを書いておきます。
去年の年末に帰ったときに買った本で、
2月のバリ旅行にも持って行ったんですが、
結局、読んだのはこの北京旅行からでした。
「ふね屋」という料理屋の一人娘のおりん。
病床に臥した彼女が夢うつつの中で目にしたのは
あかんべえをする女の子。
その女の子を見えるのはどうやらおりんだけ。
そう、その子は亡者、幽霊なのだから。
ふね屋に住み着いた5体の亡者が、成仏できない
その理由は何なのか。他の人には見えない亡者が
おりんに見える理由は何なのか。
宮部みゆきお得意の歴史小説サスペンス。
そうだった、新潮文庫の「発表!今、読みたい新潮文庫」
フェアで好きな作家アンケート1位の帯がついて、
平積みになっていたから買ってきたんだった。
そのアンケートの結果にも納得の出来るものでした。
北京旅行で最後まで読み終えることが出来なかったんですが、
平日もかばんの中に入れて、空き時間に読んだりしたくらい、
続きが気になりましたね。
亡者が出てきてありえない設定ではあるものの、
読み進めて謎を解いていくうちに、
胸を打つような気持ちにさせられました。
江戸時代という設定ではあるものの、
亡者になるような人間の暗部というのは今もまた同じ。
歴史小説という体裁を使いながらも、現代社会に
メッセージを送り込む、宮部みゆきワールドここに
ありといった感じの一作でした。
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