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ダライ・ラマ自伝 [読書記]

4月に日本に帰ったときに買った本。
3・14以降、なんだかんだ言う前に、
俺って、結局何も知らないじゃんって思って、
買った本。空港の本屋で平積みになっていたので、
衝動的に手に取ったというのもありますが。

ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)

ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)

  • 作者: ダライラマ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 文庫

1989年にノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世。
1940年に5歳のときに13世の生まれ変わりとして、
即位した彼の半生と、祖国チベットを侵攻した中華人民共和国
とのやり取りを、そして、チベット人民の生活の様を、
ダライ・ラマ自身によって綴った自伝書。
1990年に英語版で発行され、翌91年に日本語訳された。

今から18年前に書かれたものであるものの、
今なお続くチベット人民への圧政。
そして、亡命政府と名乗り、チベットに帰ることの
できない、ダライ・ラマ14世。

ただ、漠然としか知らなかったこの半世紀以上の出来事を
改めて理解することが出来ました。
また、この半世紀以上という時間の長さも感じながら、
既に破壊されてしまったチベット文化の回復の
可能性はどれくらい残されているのだろうかという
危惧も抱かずにはいられません。
チベット「自治区」の自治を回復したとしても、既に
そこには多くの漢民族も移住しているわけで、
チベット人だけのくにに戻すことは現実的には
不可能になっているのだから。
当然、事実追認するというつもりもないのだけれど、
植民地支配による文化破壊の恐ろしさを痛感しました。

帝国主義下の日本による事実上の植民地支配を受け、
虐げられてきた中国が、その後の新しい政府である
中華人民共和国政府によって、「隣国」チベットを
植民地支配してしまったということは、なんとく皮肉だろう。
また、中国国内ですら、文革の時代を経て、蛮行が
横行した時代、植民地であるチベットでの治安維持で
更なる残虐な手段が用いられたというのも、
歴史のめぐり合わせなんだろうか。

実際のところ、1949年の中華人民共和国成立以降、
翌年の50年にチベット侵攻があって以来、チベットは
中国の一部として地図の上では描かれている。
一般の中国人民にとって、チベットは中国の国土の一部で、
独立主張するなんてとんでもないと考えるのは
仕方がないのかなとも思う。
なぜならば、そういう教育を受けているから。
また、政治的にも、資源の有用性から北京政府がチベットの
大地を手放すとも思えない。

しかし、チベットで何が起こっているのか。
何が行われてきたのかを中国人民にも知って欲しい。
この本を読んで、ダライ・ラマ14世の人となりを知って欲しい。
そう、強く感じてやみません。

ダライ・ラマ14世はこの7月で73歳になります。
彼が無事にチベットの地で「生まれ変わる」ことが出来るのか。
変わり行く中国の中で、チベットの位置づけはどうなっていくのか。

ただ、がむしゃらに"Free Tibet"と叫ぶのではなく、
どうかかわっていけばいいのかなって考えていきたいと
思います。

ダライ・ラマ自伝

ダライ・ラマ自伝

  • 作者: ダライ・ラマ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1992/01
  • メディア: 単行本

 

Freedom in Exile

Freedom in Exile

  • 作者: Dalai Lama XIV Bstan-'dzin-rgya-mtsho
  • 出版社/メーカー: Abacus
  • 発売日: 1998/04/02
  • メディア: ペーパーバック

 


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