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二つの祖国 [読書記]

ここで読んだ本のことを挟みます。

8月から9月にかけて読み終えた本です。

二つの祖国〈上〉 (新潮文庫)

二つの祖国〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/11
  • メディア: 文庫

 

 

ロサンゼルスの邦字新聞『加州新報』の記者天羽賢治、ケーン。
彼とその家族の運命を通し、真珠湾攻撃、ヒロシマ、東京裁判と
太平洋戦争の荒波の中で身も心も切り裂かれながらも、
愛と祖国を求め続けた日系人の悲劇を描いた感動巨編。

山崎豊子を読むのは沈まぬ太陽以来2作目。
例によって、本屋で平積みになっていたので、
何気なく買っただけでしたが、またしても
山崎豊子の世界に引き込まれました。

父祖の国日本に対する誇り、そしてアメリカで生まれた
ものとして、自由の国アメリカに対する誇り。
二つの祖国に対する誇りの中で葛藤していく賢治。
そして、正義を貫けば貫くほど回りには理解されない
このジレンマ。

先の戦争の中で、多くの人々が苦しみを味わいましたが、
彼らほど数奇な運命をたどった人もいないでしょう。

今まであまり詳しく知ることのなかった、フィリピンでの
激戦の様子や東京裁判のことについても、彼女ならではの
記述で詳細に知ることが出来ました。
最近、日経新聞で東京裁判の検証が特集記事になっていますが、
こっちのほうがその裏の人々の心情まで描かれていて、
その場の雰囲気を感じることが出来ます。

ちょうどこの本を読み終えたとき、靖国神社の
すぐ近くで結婚式でした。翌日、なぜだか靖国参拝
したいという気持ちになりました。(こちら

それは二つの祖国の間に挟まれながらその人生を
送った賢治の忠魂の気持ちなのか、激戦の中で
日本の勝利のために命を捧げて逝った日本兵のことを
思ってなのか、はたまた、勝者の裁きによって、
死刑となったA級戦犯のことを思ってなのかは
自分でもよく分かっていません。

ただ一つ確かなのは、人々をこうやって引き裂いてしまった
戦争を繰り返してはいけないんだというその祈りを
捧げたい。そんな気持ちが芽生えたということだと思います。

今また戦争歴史観が話題となっていますが、
結果的には、アジア諸国に対して日本が侵略行為と
取られる行為を行ったというのは覆しようのない事実です。
しかしながら、その時々を生きた人たちにとって、
自分の立場でそれぞれが正義だと信じる路を歩んだんだと
思っています。
国家のレベルと個人のレベルでは分けて論じるべきかと。

山崎豊子のいわゆる戦争三部作。
大地の子は前回帰国時に購入済み。
不毛地帯はヨメが友達に借りてきたので、
現在、先にそっちを読んでいます。

二つの祖国〈中〉 (新潮文庫)

二つの祖国〈中〉 (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/11
  • メディア: 文庫

二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)

二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/11
  • メディア: 文庫

大地の子〈1〉 (文春文庫)

大地の子〈1〉 (文春文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 文庫

不毛地帯 (1) (新潮文庫)

不毛地帯 (1) (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 文庫



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